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名古屋市昭和区八事にある矯正専門の歯科医院
(鶴舞線・名城線 八事駅6番出口すぐ) 日曜も診療

ふじき矯正歯科で発行している院内誌です 一部を紹介します!



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Vol.61 (H27年4月) 
 人類学的研究によると,縄文時代には,ガタガタした歯並びの人はほとんどおらず,すべての人の歯が激しくすり減っていたらしい。一方,現代は,歯並びの悪い人や,歯が全くすり減っていない人がたくさんいます。縄文人と現代人,どうしてこんなに違うのでしょうか? 
 この要因は,主として,食材の変化と調理技術の発達によるところが大きい,とされています。縄文時代は,ものすごくよく噛まないと飲み込めないような野草や木の実,肉などを食べていたため,あごが発達し,ガタガタした歯並びにならなかったようです。その分,歯は激しくすり減っていたようですが。。。(縄文時代の人には失礼ですが,きっと,あまりおいしくなかったでしょうね。)
 では,現代人がそのような食生活にしたら,きれいな歯並びになるのでしょうか?答えは,おそらくN oです。人類の進化によって,現代人のあごの骨は小さく細くなってきていますので。。。現代人がいくらしっかり噛んで食べても,縄文人にはなれないということです。
 しかし,このような人類学的研究から,噛むことと歯並びには関係がある,ということがわかります。現代人がしっかり噛んで食べたとしても,あごが大きく発達して自然に歯並びがよくなるわけではありませんが,しっかり噛むことで,矯正治療後のきれいな歯並びを安定させる効果はあると思います。現代の食材をいくらよく噛んで食べたとしても,縄文時代のように,歯が激しくすり減ることはありませんので,心配することなくしっかり噛んで食べるようにしましょう。






Vol.62 (H27年6月)
あなたの食べ物の好み,昔と変わっていませんか?小学生の頃まで苦手だった食べ物が今では好物になっていたり,若い頃は好きだった食べ物を最近は体が受け付けなくなっていたり,多くの方がいろいろな経験をされているのではないかと思います。食べ物の好みが変わる要因はいろいろ考えられますが,味覚の変化もそのひとつかもしれません。
 人間の口の中には,味を感じる味細胞があります。この味細胞は,動物実験によると,約9日間のサイクルで新生されています。味を感じる味細胞は,日々,新しくなっているということです。この味細胞の新生には,唾液が重要な役割を果たしています。唾液がでないように処置された動物では味細胞が萎縮し,味覚感受性が低下します。ここに人工唾液などを投与すると味細胞が新生し,味覚感受性は回復します。ここでポイントとなるのは,人工唾液の成分によって,異なる感受性の味受容器が新生されることです。その時の唾液の状態によって感受性の違う味細胞が新生され,味の感じ方が変化するのです。
 唾液の量や成分は,薬の副作用や精神状態など,いろいろな要因によって変化します。したがって,昔と味覚が変わったというのは当然の結果と言えます。唾液は,むし歯や歯周病の予防のために重要な役割を果たしていますが,味覚に対しても大切な役割を果たしています。唾液は,しっかり噛んで食べることによりたくさん分泌されますので,しっかり噛んで食べるということは,味覚の面からも重要なことだと思います。





Vol.63 (H27年8月)
 乳歯と永久歯,どちらの方が大きいと思いますか?普通に考えたら,永久歯の方が大きそうですね。確かに前歯は永久歯の方が大きいです。しかし、おく歯は乳歯の方が大きいものもあります。特に乳歯の一番おく歯は,生え変わって出てくる永久歯より乳歯の方が明らかに大きいのです。
 乳歯の方が大きいのであれば,永久歯に生え変わると、すきっ歯になるんじゃないの?と思われる方もおられると思います。確かに、単に歯が入れ代わるだけであれば、すきっ歯になることでしょう。しかし、歯の生え変わりはそんなに単純ではありません。歯が生え変わりながら,周囲の歯も動いているため、実際すきっ歯になることはほとんどないのです。
 どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。歯は神様が作ってくれたものなので,本当の理由はわかりませんが,おそらく,歯並びやかみ合わせを調節するためだと思われます。歯が生え変わる時に自然に全ての歯が動き,自然の力で微妙な歯並び・かみ合わせを整えているのだと思われます。
 実は矯正歯科治療では,この点も考慮して治療しています。生え変わる時の歯の動きを利用して,歯並び・かみ合わせを整えているのです。歯の生え変わるタイミングには個人差がありますし,生え変わる時期には顎も大きく成長しています。最近の研究で,しっかり噛むタイプの骨格の人と噛まないタイプの骨格の人で,乳歯から永久歯へ生え変わる時の歯の動き方が違うことも明らかにされています。したがって、この時期の矯正歯科治療は簡単ではありませんが、自然の力を利用して、少しでも自然に歯並び・かみ合わせを整えられればよいなと思います。






Vol.64 (H27年10月)
 上下の歯を,繰り返しカチカチかみ合わせてみて下さい。いつも同じ位置でかみ合いますか?それとも,毎回違う位置でかみ合いますか?人間の下あごは、いろいろな方向へ動きますので、いろいろな位置でかみ合わせることができるのですが,通常は,一番安定した一定の同じ位置で毎回かみ合うはずです。しかし最近,かみ合わせが不安定な人が多いように感じます。私が上下の歯をかみ合わせるように指示すると,あっちでかみ合わせたり,こっちでかみ合わせたり,かみ合う位置が安定しない人が多いのです。
 かみ合わせが不安定だと,全ての歯科治療において問題になります。例えば、あっちの位置でかみ合わせたり、こっちの位置でかみ合わせたりする人に矯正治療する場合,いったいどちらの位置に合わせてかみ合わせを整えていけばよいのでしょう。あっちの位置の方が望ましいのに、こっちの位置でかみ合わせを整えてしまうと,治療後に全く噛めない,ということになるかもしれません。かみ合わせが不安定な人の歯科治療は、本当に難しいのです。  
 どうして,かみ合わせが不安定になってしまうのでしょうか?この点については研究がほとんどなく,歯科治療の際には多くの歯科医師が頭を悩ませながら試行錯誤しているのが現状です。しかし,かみ合わせが不安定だと,歯科治療が難しいだけでなく,将来、顔や首の周りの筋肉が痛い・だるいなど,いろいろな症状が出てくる可能性がありますので,若いうちにかみ合わせを安定させておきたいところです。当院でも試行錯誤しながら,皆様のかみ合わせを安定させられるように処置・指導していきますので,一緒にがんばっていきましょうね。





Vol.65 (H27年12月)
 歯科処置で大変なことのひとつに,おう吐(おうと)反射があります。歯型をとるときなどに「オエッ」となる反射のことです。このおう吐反射は,どのような人でも起こりますが,その程度の差は大きく,とても苦しむ人から,ほとんど気にならない人まで,いろいろな人がいます。
 おう吐反射についての研究は少なく,現在のところ,どのような人におう吐反射が強く表れるのかはわかっていません。しかし,口呼吸の人,舌を前に突き出す癖のある人,あまりおく歯で噛まずに食事する人によく見られる,と多くの歯科医師が経験から言っています。口の奥の方の感覚刺激に不慣れなことがひとつの要因であると思われます。
 そこで,おう吐反射を少しでも和らげるためには,口のトレーニングをしたり、いつも鼻で呼吸したり,おく歯でしっかり噛んで食べたりして,口の奥の方の感覚刺激に慣れることが大切だと思われます。ただ,おう吐反射は精神的な要因で引き起こされることもありますので,本人の気持ちを考慮する必要もあります。私の経験で,歯型はおろか,口の中に器具を入れるだけで「オエッ」となっていた人が,口のトレーニングをすることで,「オエッ」とならずに普通に歯型をとれるようになったことがあります。口のトレーニングをする価値はあるのでしょう。
 近年,口腔内スキャン装置(口の中の状態をデジタルで記録する装置)が開発されてきていますので,まもなく歯型をとる必要のない時代がやってくるかもしれません。おう吐反射が強い方にとっては朗報ですね。しかし,おう吐反射の強い方は,口の機能に問題を抱えている場合が多いので,口のトレーニングはしっかりした方がよいと私は思っています。







Vol.66 (H28年2月)
 食べ物を噛んでいるとき,舌はかなり複雑な動きをしています。食べ物をおく歯の上へ運んだり飲み込みやすい状態にしたりするために,複雑に動いているのです。しかし食べ物を噛むときに,まちがって舌を噛むことはほとんどありません。どうして,舌を噛まずに食べ物だけを噛むことができるのでしょう。
 この点について私は,食べ物や口の中の状態を舌の表面感覚が感じとって,舌が動きを調節しているのではないか,と考えて,実験したことがあります。大学病院で働いていた頃に,何人かの人に麻酔をして,舌の表面感覚をなくした状態で食べ物を食べてもらったのです。そうしたところ,全ての人がなんだか食べにくいという感覚は持ちましたが,食べ物を噛むときにまちがって舌を噛む人はいませんでした。舌の表面感覚がなくても,舌を噛むことなく食べ物だけを噛むことができるのです。人間の体って,本当によくできているな,と感心させられました。
 口の中は髪の毛1本でも認識できるくらい敏感なところです。(ちなみに指先の感覚でも髪の毛1本はわからないでしょう。)魚を食べていて,骨があれば気づいて出すこともできます。こんなに敏感な口の中でもっとも敏感な舌の表面感覚をなくしても,舌を噛むことなく食べ物を噛めるって,本当に不思議です。少し難しい話をすると,舌の深部感覚や反射など,いろいろな事柄が複雑に絡み合って,食べ物を噛むという動きはでき上がっていると思われます。食べ物を噛むということは毎日なにげなく行っていますが,感覚と運動の間でとても複雑なことが行われているということを,時々,食事のときに思い出して考えていただければ,と思います。





ふじき矯正歯科

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