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名古屋市昭和区八事にある矯正専門の歯科医院
(鶴舞線・名城線 八事駅6番出口すぐ) 日曜も診療

お口のトレーニングについて

 ふじき矯正歯科では、歯並び・かみ合わせをきれいにするとともに、口の動きまできれいにすることを目指して治療しています。
 そのため、「矯正歯科治療」を受けられる全ての方に対して、「お口のトレーニング」を行っています。

 どうして「お口のトレーニング」なんてするの?と思われる方が多いと思います。
 答えとしては、矯正歯科治療で歯並び・かみ合わせを整えますので、口の動きも整えていかないとバランスが悪いためです。
 きれいな歯並び・かみ合わせにふさわしい、きれいな口の動きを身につけるために、「お口のトレーニング」を行うのです。  
                     
 こんな説明では、ちょっとわかりにくいですね。

 例えば、とてもおしゃれな家があったとします。こんなおしゃれな家で生活できたら幸せだな、と思いながら、いざその家で生活してみると、3階建ての家で3階にしかトイレがない。トイレに行きたくなったら、いつも階段をがんばってのぼって3階まで行かなくてはいけない、こんな生活、ちょっと困りますよね。
 要は、見た目が良いだけでなく、快適に生活できることが大切、ということです。
                         

 矯正治療も同じです。見た目だけを整えるのではなく、矯正治療後の歯並び・かみ合わせで快適に生活できないと困ってしまいます。
 矯正治療後の歯並び・かみ合わせと、食べたり飲んだり話したりなど、口の動きを調和させる必要があるのです。
    

 一つの例を示しながら、ご説明しましょう。

 この方は、矯正治療前、上下の歯をかみ合わせても、おく歯しか接触せず、上下の前歯が全くかめない状態でした。
 いわゆる「開咬」という不正咬合です。
 (写真は、矯正治療前と矯正治療後です)


   
(Angle I級開咬、治療開始年齢:18歳、上下左右の親知らず抜歯、マルチブラケット装置装着期間:約2年、治療費:約80万円、矯正治療リスクの歯根吸収等はなし。ただ、顎間ゴムを1日22時間以上しっかり使ってもらいました。)

 そこで、矯正治療をして、写真のようにきれいにかみ合うようにしました。
 見た目もかみ合わせもきれいになって、とてもよくなったような気がしますよね。


 しかし、この患者さんから、矯正治療後に言われた言葉が、
 「前歯が変にあたって、噛みにくい」でした。
      

 考えてみれば当然です。
 (写真は、矯正治療前と矯正治療後です)


 矯正治療によって、矯正治療前には全く接触していなかった上下の前歯がかみ合うようになったのですから、矯正治療後に、矯正治療前と同じ噛み方で噛んだら、とても噛みにくい事でしょう。
 矯正治療後のかみ合わせにふさわしい、きれいな噛み方を身につける必要があるということです。
                   

 この方からの直接の訴えは、「前歯が変にあたって、噛みにくい」だけでしたが、実際には、「飲み込みにくい」とか、「舌が窮屈な感じがする」とか、他にも言いたいことはたくさんあったのではないかと思われます。
 矯正治療後の歯並び・かみ合わせに、口の動きが調和できないと、このような問題が生じてしまうのです。
 矯正治療後の歯並び・かみ合わせにふさわしい口の動きを身に付ける必要があるということです。
        

   

 また、矯正治療後の歯並び・かみ合わせに口の動きが調和していないと、変な噛み方で噛み続けたり、舌の位置や動きに問題が生じたりして、歯が変に動いてしまう可能性もあります。
 歯は、ちょっとした力で簡単に動きますからね。
   

 そこで、矯正治療後の歯並び・かみ合わせに調和した口の動きを身につけるために、「お口のトレーニング」を行うのです。
 矯正治療で歯並び・かみ合わせを整えるとともに、お口のトレーニングで口の動きも整えていくのです。
 なんとなく、ご理解いただけますでしょうか?(ちょっとむつかしいかな??)
                    

 上記の例は少し極端かもしれませんが、矯正治療を行った場合、大なり小なり、必ず、かみ合わせなど、口の形が変化します。

 例えば、 この方も、ガタガタした歯並びが治るとともに、かみ合わせも変化しているのが、見てわかると思います。
 (写真は、矯正治療前と矯正治療後です)


(Angle I級叢生・開咬、治療開始年齢:18歳、上下左右の第一小臼歯抜歯、マルチブラケット装置装着期間:約2.5年、治療費:約90万円、矯正治療リスクの歯根吸収等はなし。矯正治療の痛みと違和感がとても大変だったようですが、歯みがきをきちんとするなど本人がとても前向きに治療に取り組まれましたので、むし歯や歯周病などのリスクは生じませんでした。)


 この方は、上の前歯が前に出ているのを矯正治療で後ろに下げたのですが、口元がこんなに変化しています。
 (写真は、矯正治療前と矯正治療後です)

  
  
(Angle II級上顎前突、治療開始年齢:18歳、上下左右の第一小臼歯抜歯、マルチブラケット装置装着期間:約2.5年、治療費:約90万円、矯正治療リスクのひとつである歯根吸収が、上顎前歯で起こりました。この方も、矯正治療の痛みと違和感がとても大変だったようです。しかし治療後には、口を閉じやすくなったと、とても喜ばれていました。)


 矯正治療では個々の歯の位置が変化するわけですから、口の形も変わるというのは、考えてみれば当然ですよね。
 そこで、くり返しになりますが、
 口の形の変化に合わせて口の動きも変えていくために、「お口のトレーニング」を行うのです。
                            

 「お口のトレーニング」の必要性、何となくご理解いただけましたでしょうか?
  

 もちろん、元々口の適応力の高い人は、矯正治療で歯並び・かみ合わせを整えるだけで、自然に口の動きまできれいになる人もいます。
 そのような人は「お口のトレーニング」をしなくても、矯正治療後の新しい歯並び・かみ合わせに自然に適応します。
 矯正治療で歯並び・かみ合わせを整えることで、自然に口の動きまでよくなる人もいるということです。
  

 しかし、近年は「噛まない人が増えた」と言われるように、口をきちんと動かせない人が増えてきているようです。
 口の適応力の低い人たちが多くなってきているのです。
 したがって、矯正治療できれいな歯並び・かみ合わせにするだけで、自然に口の動きまできれいになる人は減ってきているように思います。

                                   

 現に、世界の矯正歯科学の学術誌でも、2000年くらいまでは、「口の形に口の動きは適応する」、といった内容の論文が多かったのですが、2010年頃から、「お口のトレーニング」の重要性を示す論文が増えてきています。
 (このあたりは、私の専門なので、話し出したらとても長くなりますので、ちょっとここでは省略します。)
     

 そこで当院では、全ての方に「お口のトレーニング」を行っています。
 「きれいな歯並び・かみ合わせにふさわしい、きれいな口の動きを身につけること」、「矯正治療によって歯並び・かみ合わせが変化した場合、それに適応して口の動きも変化していけるように、口の適応力を向上させること」が、当院の「お口のトレーニング」の目標になります。
                            


 では、どのような事をするのか、ということですが、
当院で行う「お口のトレーニング」は、2012年と2016年に当院で出版した下記の本の内容が中心となります。
 これらの本の出版後も、少しずつレパートリーは増えてきていますので、少しずつ変化、進化し続けていますが。。
 


お口で こんな動き できるかな? 口の適応力向上トレーニング


(好評のため、2016年に「新お口でこんな動きできるかな?」という改訂版も出版しました。)


 内容としては、
基本的な口の動きができるのかどうかをチェックし、できない場合は、その動きができるようになってもらうように指導します。

 口の適応力の高い人の場合は、こちらで示した基本的な口の動きを、簡単にできてしまうことが多いので、「この動きを忘れないでね」といった簡単な指導だけで、特に練習する必要はありません。
 できない動きがある場合に、できるようになってもらうだけです。

 したがって、毎日するトレーニングではなく、できるようになることを目標とした指導を行います。
                        

 具体的なプログラムを一つご紹介しましょう。
ブクブクうがいです。
 上下の歯をかみ合わせたまま、右で10回ブクブクブク、左で10回ブクブクブク、左右別々にブクブクうがいします。
 これを左右5往復。


お口でこんな動きできるかな?より引用)

 皆さんも、一度、このブクブクうがいをやってみてください。
 思った以上に大変で、できない人もおられると思います。
 当院でする場合は、細かいチェックポイントがいろいろありますので、それら全てをクリアするのはなかなか大変です。
                           

 このように、基本的な口の動きをできるようになってもらうのが、ふじき矯正歯科の「お口のトレーニング」です。
 なんとなく、ご理解いただけましたでしょうか?
   

 ちなみに、上で示した患者さんですが、
(写真は、矯正治療前と矯正治療後です)


(Angle I級開咬、治療開始年齢:18歳、上下左右の親知らず抜歯、マルチブラケット装置装着期間:約2年、治療費:約80万円、矯正治療リスクの歯根吸収等はなし。ただ、顎間ゴムを1日22時間以上しっかり使ってもらいました。)

 このように、前歯で噛めるようになった頃、口の中の食べ物を前歯で噛むようにしている、と言われました。

 人間は、本来、
前歯で噛み切って口の中へ食べ物を取り込み、
口の中に入った食べ物は、おく歯でモグモグ噛んで食べます。


お口でこんな動きできるかな?より引用)

 したがって、口の中に入った食べ物を、前歯でモグモグ噛むのは、ちょっと間違っています。
 この患者さんにも、そのように指導しました。
 しかし、もともときちんと噛む動きを身につけられていないわけですから、おく歯でも上手に噛めません。
 少しずつ噛む動きを身につけていけるように指導しました。
                               

 しかし、噛む動きって、そんなに単純ではありません。
 ちょっと考えてみればわかると思いますが、食事の時には、舌を噛まずに食べ物だけを噛んでいますよね。
 舌が食べ物を歯の上に運ぶなど、巧みな動きをしているから、食べ物だけを噛むことができるのです。
 皆さんが、毎日、何気なく行っている動きですが、実はとても複雑な動きをしているのです。
  

 したがって、「噛むときにはこのように動いているんだよ」「飲み込む時にはこんなふうだよ」と説明して、簡単にできるようになってもらえればよいのですが、そうもいかず、「お口のトレーニング」で、基本的な口の動きを少しずつ身につけてもらえるように指導し、皆様のお口の動きがちょっとずつでも変化していくことを期待しているのです。


 長年の口の動きが癖になっている場合は、長年の癖を1日や2日で簡単に変えられるわけもなく、数年間にわたる矯正治療期間を通して、数年かけて、少しずつ口の動きを変えていけるように指導します。

 したがって、お口のトレーニングとは、「こうすればよい」という単純なものではなく、長期間かけて、少しずつ変えていければよいな、といった、根気が必要なものでもあります。
                           

 幸い、(と言って良いのかどうかわかりませんが)
矯正歯科治療を行うときには、数年間、当院へ通院し続ける必要がありますので、その間に、矯正治療と並行して「お口のトレーニング」を行うことにより、多くの人はきれいな口の動きを身につけられるようになっていきます。
  



 「矯正治療をせず、お口のトレーニングだけをしたい」と考えられる方もおられると思います。
 これは、トレーニングの目的によっては可能です。
 特に、障がい等により神経や筋肉に問題があり、口をうまく動かせない方は、摂食機能療法などとともに、お口のトレーニングをされたらよい場合もあります。
 また、いつも口が開いている、ほとんど噛まずに丸飲みする、等、口をあまり動かせない方、動かさない方、口の機能に問題がある方に、お口のトレーニングをするのもよいと思います。
 ただ、そのときの口の形(歯並び・かみ合わせ)に適応した口の動きをしている方の場合は、口の形(歯並び・かみ合わせ)を整えることなく、口の動きだけを整えるのが良い事なのかどうか、私にはなんとも言えません。
  

 ちょっと長くなってしまいましたが、当院の「お口のトレーニング」は、このような熱い思いと深い考えがあって行っています。

 矯正治療後のきれいな歯並び・かみ合わせで快適に生活していけるように、矯正治療後のきれいな歯並び・かみ合わせが、きちんと安定するように、「お口のトレーニング」を、一緒に頑張っていきましょうね。

                               

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 ふじき矯正歯科について知りたい方は、「ふじき矯正歯科のご案内」のページをご覧下さい。


           


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